FC2ブログ

鷹ノ巣山避難小屋にて 第二日目

2010年5月18日
石尾根縦走路 鷹ノ巣山避難小屋 〜 鷹ノ巣山 〜 七ッ石山 〜 六ッ石山 〜 奥多摩駅


TS3E1404.jpg


目覚めた時、窓の外は白み始めていた。5時前。やれやれ、星はどうだったのだろうか。起きていれば星空を見ることが出来ただろうか。起き上がる。背中が痛い。エアマットが悪いのか、空気が足りなかったのか。それとも所詮こんなものなのだろうか。とても眠い。しかし、またこの上に横になる気にはなれない。諦めて外に出る。
寒い。ダウンを脱ぐことは出来ない。ああ、気分が優れない。体調が悪いと言う訳ではない。確かに快眠では無かった。何だか妙に、そして強烈に空しい朝だ。光が足りず、肌寒く、でも風も無い。鳥の声もしない。いやそういう事ではなく、何かがとても足りない。何なのだ?山の素敵な朝の筈だったのに。ものすごく居心地が悪い。ここでこうしている自分がとても愚かに思えてならない。
夕べのラジオのせいだ。


P5181166.jpg


湯を沸かしコーヒーを飲むか。


P5181177.jpg


朝と言えば、しそわかめご飯、ゆうげドライの定番。気分が晴れていればもっと美味しかっただろうに。


P5181189.jpg


予定通り(?)途中でガスは切れた。固形燃料簡易ストーブの出番だ。
風向きを確認して火をつける。思っていたより早く沸騰を始めた。風がほとんど無いせいもある。
これは十分使えるな。もっと積極的に使おう。そしてまたコーヒー、またタバコ。


P5181183.jpg


眩しい!6時に近づくと樹の間から太陽が光を差し込んだ。


P5181190.jpg


目が覚める。気分も覚める。日溜まりの温もりに微睡む。真新しい一日だ。
長く伸びた自分の影と戯れる。
もう腹減った?昼食兼行動食のオールレーズンに手をつける。
太陽光線を浴びて肉体と心と血に活性化を促す。太陽はこんなにも心を動かす。


P5181207.jpg


そろそろ出発しよう。道のりは長い。石尾根縦走路を奥多摩駅まで歩くのだ。
あのオヤジさんはうまいビールに喉を鳴らせただろうか?
鷹ノ巣山を目指す。


P5181212.jpg


遠くに富士山が見える。この山々を越えれば、そこに辿り着く?
カメラを向ける。足下から山頂まで距離感を。


P5181213.jpg


裾野から空高く宇宙感を。


P5181219.jpg


7時50分。鷹ノ巣山に着く。先月歩いた御岳山、大岳山、御前山が一望出来る。


TS3E1421.jpg


いずれはこの奥多摩すべてを歩き尽くしたい。さあ、歩こう。そう、この積み重ねだ。


P5181224.jpg


歩く。ただひたすら歩く。汗を拭いながら。


P5181228.jpg


地図にはいくつも山が表記されているが、道にはそれ示すものが見当たらず、進み具合を把握しづらい。地形図を読めるようにしなくてはいけないな。


P5181233.jpg


おっと随分キツい下りだ。しかし、それを平然と上って来るものがいる。
黄色いヘルメットに作業着、右手にはクリップボード。駅の階段でも上るように。呼吸も乱さず。この人にとってこの山は日常だ。タフガイ。こちらはただの冒険ごっこで、自分の両手のストックはオモチャに思えた。


P5181238.jpg



P5181240.jpg


9時40分。随分歩いた。六ツ石山。小休止。腰を下ろし、山々を眺めながら食べかけのオールレーズンを食べ尽くし、バナナチップ、ミックスナッツを頬張る。


P5181244.jpg


「こんにちは。」軽装男性ひとり。
「大きい荷物ですね。縦走ですか。」はい。
「わたしは林道から上って来て、来た道を下りるだけです。」そうですか。では気をつけて。


P5181248.jpg


歩く。
振り返ると随分と高度を下げている。しかし何だろうか、ぜんぜん進んでいる感じがしない。


P5181249.jpg


歩く。
ザックが大きいのか、薄着だと装着が悪く、肩も胴も遊びがあってどうも落ち着かない。これが疲労の最大の原因だ。


P5181256.jpg


歩く。
薄暗く湿った杉の植林地帯、道は深くえぐれている。そう造ったのか、いや、えぐれてしまったのだ。木々の悲鳴が聞こえる。根は露出し踏みつけられる。削られる。そして倒れる。


P5181257.jpg


歩く。
あのオヤジさんもこの道を歩いたんだね。明るいうちに抜けることが出来たのかな?
歩く。
もうしんどい。早いとこゴールとしたい。舗装された道に出る。やっと終わりかと思いきや、また山道となる。やれやれ。
歩く。
もう疲れた。あとどれだけ歩くのだ。
歩く。
アミノ酸ゲルを吸い、チョコレートを頬張る。そして呼吸困難になる。
歩く。
終わったからって、ビールなんか口にしようものならイチコロだな。帰れないぜ。
歩く。
ああ、疲れた。力不足だ。早く到着してくれ。
歩く。
いったい何を喘いでいるのだ。好きでやっているんじゃないのか?! 情けない。
歩け!
この男、逃亡者につき。


P5181258.jpg


奥多摩駅到着。やれやれ、疲れた。本当に疲れた。時間を書き留める事を忘れたほど。おそらく12時ほぼ丁度。
駅前のベンチに腰掛け、タバコに火を点ける。暫し放心。その姿に笑みを浮かべる者がいる。ボロボロに見えたのだろう。
ボロボロですもの…
車を置いている鳩ノ巣まで電車に乗る。土と汗で汚れている。シートに腰掛けられない。
汚くて、臭くてすみません。すぐに降りますから。
鳩ノ巣駅から駐車場への急坂は今にも転げ落ちそうだ。山歩き以上にストックが頼りになった。
車の中でコーラを流し込みながら、着替えをする。
達成感は何処へ行った?満足しないのか?ゴールしたのだ。だというのに何だ、この喪失感は、この不快感は?
達成感?達成なんかしちゃあいない。それどころかまだ何も始めていない。
耳元でそう囁いたのさ。ハタチの女の子がね。そう言う事だ。
しかし疲れた。
そして眠い。本当に眠い。
時間ならたっぷりある。ひと眠りしよう。


鷹ノ巣山避難小屋 7:15
鷹ノ巣山(1,736.6m)7:50
水根山 8:20
城山 8:48
将門馬場 9:13
六ッ石山 9:44〜10:12
奥多摩駅 13:00

関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント