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雲取山、飛龍山、シャクナゲに萌える 2

2011年6月15日 2日目
雲取山避難小屋 ~ 北天ノタル ~ 飛龍山(大洞山) ~ 禿岩 ~ 前飛竜 ~ 丹波天平


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物音に目覚める。オバサマ達は朝ご飯中だ。音を立てずに黙々と、いや、こちらに気を使っているのだ。ごめんなさい。起きます。窓は白んでいる。いったい何時だ。おっと、携帯電話はバッテリー切れ。テレビなんて見ているからだ。点けっぱなしで寝た。時計は持たない。携帯電話のバッテリーを交換。オン。もう少しで4時半。やれやれ。このまま寝ようにも落ち着かないし、十分寝た。オン。温かいものを飲もう。紅茶にしよう。タバコを止めたらコーヒーも欲しがらなくなった。あの二つは中毒だ。
薄暗い中で、音が慌ただしくなった。出発の準備。ずっと背を向けているのもどうかと思って顔を向けた。下着を着けていない背中が見えてしまった。慌てて向き直る。ゴメンナサイ。ちまちまと片付けを始めることにする。頃合いを見計らってカメラを持って外へ出る。すっかり霧の中だった。

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小屋に戻るとオバサマ達の出発するところだった。
「どちらに向かうんですか?」飛竜から丹波に下ります。
「一緒ですね。何時のバスに乗るんですか?」のんびりして間に合うの?そんな調子。すみません。車で来まして。
「飛竜から下りは結構険しい、大変だ。と聞いたんですけど。そうなんですか。」
一度だけ歩いた事があります。ただその時は大雪になってしまって。そういう意味では大変でしたが…。
玄関の辺りは明るく、表情もうかがえて会話も自然に出来た。
「では行ってきます。」気をつけて行ってらっしゃい。「失礼します。」
5時過ぎ。出かけて行った。4月のオジサン達にしてもみんな早い。寝るのも、起きて出掛けるのも。
見習うベきであろう。しかし同じようには出来ない。活動時間が違うとしておこう。もし途中で追いついて一緒になったのなら、駅まで送って差し上げよう。

朝飯。大豆ひじきご飯、みそ汁。水は程よく残った。避難小屋には水場が無い分、必要な量を見極めて背負って来なければならない。湯を沸かして紅茶を入れよう。途中の食事用に。

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6時。そろそろ荷物をまとめて出発するとしよう。三条ダルミへと下りる。
4月に雪の上をグリベル スパイダーで下りた時のほうが楽だったように思う。
霧雨になった。このままでは濡れてしまう。ザックを下し、レインジャケットとレインカバーを取り出す。
背後に昨日の熟年夫婦2組の姿。おはようございます。「大勢いたけど夕べはみんなあそこに泊まったの?」リーダー的オジサン。いいえ。
4人は山荘に泊まった。みんなすでに雨の装備だった。ずっと昔から使っている慣れたもの。良く馴染んでいた。
ザックにレインカバーを装着、ジャケットを着替えていると、ひとりのおばさまが正面に立った。質問攻めとなる。
あそこは何人泊まれるの?これからどこまで行くの?何処から登ったの?あの岩も行くの?何と言ったかしら。ああそう。ああそうなの。まだ若いからねえ。いいえ、そんなこと無いんですけど。
その眼力。愛しいものを見る目。釘付けにされた。その視線から逃れることは許されない。逸らしてはいけない。そして今にも抱きしめられそうだった。愛しくさえ思えて来た。抱き合って名残惜しむか。違う次元で出会っていたら…。
先輩たちの装備は色も形も古いものばかりだが、ずっと使い続けて良く馴染んだもの、何不自由無い。信頼している。そんな姿は格好良かった。最新で勝負気を出している自分が実に恥ずかしい。
昨日、鴨沢から入り、今日は三条へ下りると言う。こちらの支度が済むのを見守っていてくれた。終わると同時に三条ダルミの分岐を別の道へ歩き出した。それでは、気をつけて。

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しばらくは平行してお互いが見える。そして見えなくなるところでもう一度お別れをした。素敵な人達だ。

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7時半。40分程歩いて狼平に出た。すっかり霧雨の中だ。太陽の下マットを広げてうたた寝を。なんて思っていたのに。

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三ツ山を越える。正しくは三つのコブは跨がずにトラバースする。いつの間にか通り過ぎている。斜面に架けられた木道を歩く。雨に濡れた苔でとてもよく滑る。

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そういえば花後のシャクナゲばかり見っていのたかも知れない。白い霧の中で露に濡れたピンク色は際立つ。

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良く言えば、しっとりと柔らかい空気。

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山木は踊る。

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北天ノタルに到着。9時になろうとしている。11月に来た時はここから雪となった。

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今日は霧。シャクナゲ。4月の雪に断念した時、避難小屋で一緒になったおやじさんが教えてくれた。

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「飛龍は6月に行くと良いよ。シャクナゲが奇麗なんだ。」情感たっぷり語ってくれた。そしてやって来たのだ。

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この風景になかなか脚が進まない。いったい何回シャッターを切っただろうか。

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ツツジも

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コイワカガミも。

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山頂への道が現れた。しばらく平たい道を歩いて来た。果てしなく見える上り道。行く先は霧の中に消えている。

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何を躊躇している。

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また新しい風景に会うのだ。

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傾斜が緩やかになると霧の苔を纏った樹の美しい森。北八ヶ岳を思い出す。

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山頂、10時。森の中で遠望は無い。霧のせいもあるが。山頂は遠望のためにあるのではない。

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充分心地良い。

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飛龍権現へと下りる道はシャクナゲの回廊となる。

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歩いても、

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歩いても、

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転んだけれども、

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シャクナゲの回廊。






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飛龍権現まで下りて来た。

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進めるのだ。そう、禿岩へ。

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シャクナゲの道。

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分かってはいたが、この霧、視界ゼロ。

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また来るさ。小休止。

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オバサマたちは無事だろうか。

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インターバル1時間。追いつくことはないかな。難しいことはないですよ。と言ってしまったが、

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なかなか手強い岩場だ。ここを始めて歩いた時は岩と言うより雪に参ってしまったからな…。

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初雪にして大雪。滑り止めを持たず、下りたと言うより落ちたが正しいだろう。あの時は「終わり」を意識した。

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また天気が悪い?いや、今日にしか出会うことが出来ない情景だ。

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この絶景に出会える確率のほうが低いのだ。

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この霧、新緑。咲き誇り、そして散り行く花々。それは太陽の日差しの中よりも美しく。

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しかし、急激に闇へと…。

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急ご…。

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丹波天平へ。

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お気に入りの樹。フォトジェニック。

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そうだ、次は大菩薩嶺へ行こう。


雲取山避難小屋 6:20
三条ダルミ  6:45
狼平 7:30
北天ノタル  8:57
飛龍山(大洞山)(2,077.0m)9:55
禿岩 11:13
前飛竜 12:09
サヲウラ峠  14:25〜14:45
丹波天平 15:18
丹波小学校  16:23
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2011年6月14日 1日目
丹波天平 ~ 三条の湯 ~ 雲取山避難小屋 ~ 雲取山

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6時50分、丹波小学校の裏門を入口に使わせて頂く。雲取山到着見込みは15時。サオウラ峠へのルートもあるが、今日はこちらを。丹波天平が気になる。寄らずにはいられない。

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いつものように静かだ。地面には落ち葉で埋め尽くされ、いつも秋色のままだ。

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今日はまだ見せてくれた事のない、いい顔に出会えるのではと。

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「作業中につき注意」の札。歩みを進めると樹を切ったあの匂いに満ちていた。そして大量に切り倒されていた。間伐とは言い難い。どうした事だ。

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サヲウラ峠手前できれいに縦列した男達の頭が4つ見えた。背負っ籠にはチェーンソーも見えた。仕事人達だ。

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9時30分、サヲウラ峠に到着。祠に手を合わせる。ひとり女性が腰掛けて地図を広げていた。「おはようございます。」30代半ばというところか。巷の山ガール的ではなく、落ち着いた淡いブルー系でまとめていた。

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同じ雲取山を目指すのだろうか。いや、雲取山目当てならここは歩かないだろう。三条の湯か飛龍ピストンというところだろうか。声を掛けるべきか否か。しかし、「構うな…」オーラを放っていたので、退散する。

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11月に道を塞いでいた倒木は4月には撤去され、あの地震で崩れていた斜面は、過剰に整備された道が出来あがっていた。11月の色鮮やかな落ち葉の絨毯、4月には彩りが乏しかったが、今回は点々と現れるミツバツツジの散った花びらの山。
ガンバ谷を横切り、権現谷で足を止める。この灰色の空の下はヤケに不気味だった。ここで一休み。ぶどうぱんを齧る。昼メシには少しばかり時間は早いが、腹が減る前に摂ること。この先、足を止める場所がないこと。避難小屋に着いたら、湯を沸かして天ぷらそばを食べたいこと。
やはり居心地が悪い。早く出て行けと言わんばかりだ。食べ終えると逃げるように立ち去った。

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11月、秋の情景に佇むはずが、予想外の早い初雪に見舞われ、雲取山を断念。三条の湯で幕営。翌日の飛龍山は更なる大量の雪で、生きた心地がしなかった。
4月、もう雪は残ってません。その情報を元に準備してやって来た。凍結はあるかもしれない。念のためスパイクを持った。しかし、出発した夜に雪山に戻っていた。過剰だったはずの装備はすべて必要なものになった。飛竜、禿岩を断念、来た道を引き返した。
そして今日、またやって来た。どうも最近天気に恵まれない。晴れ男のはずなのだが。今日はともかく明日だ。明日晴れてくれればいい。しかし、小雨が落ちて来た。雨支度をするか。ザックカバーだけ纏った。

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鳥たちの会話が響き渡る。湿った空気のせいか、艶っぽく、心地良い。

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14時15分、三条ダルミ。明日歩く飛龍への道との合流。そして雲取山へ、三峰への分岐でもある交差点だ。ここで展望が楽しめるはず。しかし霧に包まれ、それは無い。
明日のルート、隣になる飛竜に繋がる道に人の気配があった。逆まわりで同じように雲取山を目指し、避難小屋を共有するのだろうか。
顔を向ける。そこにいたのは馬、いや馬の様な大きな鹿だった。お互い驚き硬直し、暫し見つめ合う。
チャンスだ。夕陽のガンマンの如く腰からカメラを引き抜く。同時にリボルバーのハンマーを起こすようにパワーボタンをオンにした。しかし、それによって飛び出したレンズがポケットに引っ掛かり出て来ない。シマッタ!馬みたな鹿は飛び跳ねて振り返り、白い尻と白い歯を向け、ヒヒィ〜ンと(は言わないが)嘲笑い、尾で尻をペンペンと叩いて(イメージ)、北の斜面を駆け降りて行った。
エンニオ・モリコーネのあのメロディが確かに聞こえた…。
それはデカイ鹿だった。これまで鷹ノ巣や丹沢、奈良公園で見た鹿とは違う生き物ののようだ。
荷を下ろして、腰も下ろす。ひと登りすればもう雲取山頂上だ。また鹿が現れるのを待ってみるか…。

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今度は間違いなく人だった。40歳辺りの長身男性。ザックにマットを外付けしている。同類の匂いだ。その彼も荷を置いた。山荘で幕営と見受ける。いや、どうだろう。避難小屋かもしれない。先に行って自分の場所を確保せねば。入り口付近がいいのだ。夜の星空のため。こんにちは。挨拶を交わすと先を急いだ。

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霧に包まれ幻想的に。避難小屋まではかなりの急登だ。すぐに足が止まり進まない。追っ手が来る。急げ。汗と鼻水がいっそう激しく流れる。ポケットティシュ2パック目も間もなく使い切る。タオルには新しい汗が入り込む余地はもう無い。やれやれ。上って来た道を見下ろしたが、濃い霧で見えない。扉の手前で呼吸を整える。

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先客がいるかもしれない。ノックをして、失礼しま~す。一番乗りだ。15時丁度。出発して8時間。荷を下ろし、アクエリアススペシャルを飲み干し、ティシュ2パック目を使い切った。
小屋外のベンチで湯を沸かす。景色は無いが山にいるのだ、内ではもったいない。マグカップにリフィルパックの天ぷらそばを入れ、湯を注ぎ3分間の辛抱に入った。あっ!シマッタ!高野豆腐も一味唐辛子も無いじゃないか…

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石尾根をこちらに向かう姿が見えた。点々と散っていてソロなのかグループなのかまったく分からない。
まず、ピンクのコーディネートを決めたオバサマ。50代と見る。続いてストックと傘両方を操るふくよかな女性40代。上ると同時にカメラを向け合っていた。ゴールの歓喜の声を上げていた。と言う事はここで共に過ごすということのようだ。
こんにちは。真っ直ぐ避難小屋に向かうと遠慮なく豪快に扉を開けた。こちらに向き直り、「よろしくお願いします。」こちらこそ。続いて30代であろう独り好青年。「こんにちは!」「いやあ、今日は残念ですね。天気が今ひとつ。晴れて入ればホントいい眺めなんですけどねー。」「3回目なんですよ。あ~あ今日はだめだなあ。」「今日は日原から入ったんですよ。長かったですね。」「ここに泊まるんですか?テント張ろうと持って来たんですけど、天気怪しいですしねえ。僕もここにしようかなあ。悪くないなあ。」「ん~どーしようかな。」そばを啜りながらの相槌を打った。熟年夫婦2組。多分。「皆さんここに泊まるんですか?」「ええ。」「いや僕はまだ。」「そうですか。」そこへ三条ダルミの長身男性もようやく現れた。この賑やかさに戸惑いを見せ、小屋を横目に素通りした。好青年が「まず、山頂見て来ます。それから決めます。」行ってらっしゃい。そして戻っては来なかった。
結局、避難小屋泊はオバサマ2人組。他のみなさまは雲取山荘へと向かったようだ。

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薄暗くなった中で、断熱シートを広げその上に装備を並べた。いや、ただただ散らかっている。それに対してオバサマ達の整理整頓された身の周り。恥ずかしく思えたが、かと言って修正も出来そうにないのでそのままにする。着替えを始めた様子なのでカメラを持って外へ出た。そう言えば山頂に行ってない。まあ目的は山頂よりこの避難小屋。目と鼻の先だが。その前にトイレへ。今まで気付かなかった張り紙。「避難小屋を計画的な宿泊施設として使用するのはやめましょう。」おっしゃる通りです。キレイで居心地良過ぎる。
山頂へ向かう。鹿が山頂方向からと避難小屋方向からと駆け寄っていた。正面衝突寸前で同時に向きを変え斜面を降りて行った。一瞬の出来事。またしてもカメラは間に合わなかった。また現れないかな。山頂と避難小屋の間をウロウロ。小屋からはオバサマ達の賑やかな声が漏れていた。1時間くらい経っただろうか。雨が落ちて来た。戻ろう。

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扉を開けるとオバサマ達の会話が止まった。遠慮なく続けてくれていいのに。かえって気を使う。暗くて表情を伺えないのが一番厄介だ。そしてどうしても背を向けることになる。なので、雨が降って来ましたよ。「そうですか。降って来ましたか。」END 展開せず。夕食はどうするのかな。多少なりとも共同作業して素敵な香りで小屋を充満させるのではと勝手な想像、期待をしたが、それぞれが用意したのものを分け合うことも無く、匂いも音も無く食べていた。何を食べていたのだろうか。気になる。
18時、食べ終えるともう寝袋に収まっていた。もうですか。4月のオジサン達もそうだった。山での鉄則。早寝、早起き、早出。皆様きちんと実践してるようだ。仕方ない、まだ腹は減らないが、音が立つものは今のうちに片付けるか。毎度定番、ドライカレーとオニオンスープ。共にブランドを変えてみた。

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今宵のニューアイテム、ソーラーバッテリーのボトルキャップランタン SOL LIGHT LIGHTCAPナルゲン グローボトルと組む。何かを見る必要は無い。ただ灯すものとして。柔らかい光が良い。
間もなくオバサマたちのイビキが。
さて、この時間をどう過ごそうか、少し動くだけでも音が際立つ。静かに過ごすには。
携帯のワンセグ、テレビニュース。被災地の取材。心が痛む。しかし眠りに落ちるのに時間は要らなかった。

目覚める。23時半。窓に映る暗闇。扉の向こう、外が気になってならない。
扉を開けるとそこには宇宙が広がっている。星が流れてタバスキーが追いかける。
物音を立てぬよう。ゆっくり寝袋を脱ぎ、ヘッドランプをオンにする。
そっと扉を開ける。ゴロゴロゴロ。大きい引き戸のこの音は消すことが出来ない。少しの隙間で手を止めた。霧だけだ。隙間に流れ込んで来た。そっと閉める。ゴロゴロゴロ。オバサマ達のイビキが止まってしまった。ゴメンナサイ。
まあ、時期が悪いか。また来るさ。

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丹波小学校  6:50
丹波天平 8:35〜8:45
サヲウラ峠  9:33
三条の湯 11:45
青岩鍾乳洞分岐 12:10
三条ダルミ  14:15〜14:25
雲取山避難小屋(2,017.1m)15:00
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